良質な質的調査『呼び覚まされる 霊性の震災学』
「私は死んだのですか」運転手に聞いたタクシー客 震災と幽霊の深い関係(GLOBE+)https://t.co/EaCp5O6Rsi
— 蛇川ニョロリ (@49sick89hack) 2021年1月22日
これはすごく貴重な記録のような気がする。
源泉かけ流しとでも言うべきか、限りなく発生地点での「原型」に近い状態での幽霊譚の採取記録。
ツイートの
「これはすごく貴重な記録のような気がする。 源泉かけ流しとでも言うべきか、限りなく発生地点での「原型」に近い状態での幽霊譚の採取記録。」
にオッとなって参照先の記事を読んでみたけど、すごい面白い質的調査についての記事だった。
とにかく元記事を読んでいただきたいのだが、個人的に興味深かった点は
研究者曰く、幽霊の目撃談が非アカデミアから非科学的だといった批判を受けることなく共感を持って迎えられた、といった点とか。これなんかは「お堅くない」人文社会系の受容のされ方が社会的に共有された「記憶」やら出来事やらとわりとダイレクトなことの証左だなという感じ。東日本大震災というイベントがなければ「怪談」で処理される類の話が別種のものとして受け入れられている。
それにこれらの調査自体が、当然ながら質的調査の侵襲性を伴っていながら、同時に対象者の「喪」に様々な形で資することもあったということが書かれており、いい調査をおやりになったんだなあという感想。
あと調査対象者に「タクシー運転手」をいれるの上手いなあと感じた。
『「研究者は過去のデータや論文にあてはめて考え、幽霊のような話は不純物として扱うが、学生は被災地を歩き純粋に現場のデータを集めてくる。あてはめようとするほど合わないものが出てくる」と金菱さんは見る。』