正社員化して、バイトの人たちって得するの?

【続報】ユニクロ・柳井正氏が語るパート、アルバイト正社員化の真意:日経ビジネスオンライン

 

柳井正によるステートメント。非常に長い。まず第一の印象として、全文読めるのはありがたいがそれとは別に分析的な記事を記者は書けといいたい。

かいつまんで説明すると、アルバイト正社員化の意図とは末端の従業員の生活を守ることに一義的意味がある。彼ら彼女らの生活をきっちり保障することで、最大のパフォーマンス以上のものを発揮してもらうというわけである。そのために店長クラスの社員はボトムアップを促せるサーバントリーダーであることが今後より一層要求されるようになるとのこと。そして全員が経営者の視点を持った」従業員による少数精鋭チームによって店舗運営をしていくとここでは言われている。

これ以外にもグローバル戦略に関してちょろちょろと言及されているのだが、割愛。

このアルバイト正社員化、小売業のお題目としては一見すると「正しい」。しかしながら、ユニクロを筆頭として、2000年代以降の小売・接客業界は労務管理・労働統制の実際面が槍玉に挙げられて批判を受けてきたのではなかったか。非正規の量的拡大と固定化をいいことにやりたい放題だったからこそ批判を受けていたのだと認識しているので、ここで彼が「生活を守る」と言っても「はいそうですか」と受け取れるほど楽観的ではない。「全員が経営者視点を」というのも正社員に対する労働強化のクリシェになってしまっているのに、「アルバイトを正社員に」というのは何かの冗談だろうか。

ここで語られる グローバルカンパニーとしてのユニクロの未来や戦略の水準の話とアルバイト正社員化の話は、これまで従業員を酷使してきた過去を踏まえると乖離しているように聞こえてしまう。グローバル企業だからといって「清く正しい」とはもちろん思わないが、グローバル企業「ユニクロ」と従業員使い捨て企業「ユニクロ」は別企業なのかと思うほどのズレである。このステートメントにそのギャップを埋める働きを持たせようと目論んでいたのではないか、と思うのだがそれは成功したとは言いがたい。